一般質問「ケアラー支援について」
- 真史 倉嶋
- 8月2日
- 読了時間: 4分
令和4年2月議会において、私は「ケアラー支援」について一般質問を行いました。昨年3月議会で初めてこのテーマを取り上げましたが、今回はより具体的に 国や県の方向性、市の役割、今後の課題 について掘り下げました。
家族の介護や日常生活の支援をしている「ケアラー」、特に子どもや若者が家族の世話をしている「ヤングケアラー」という言葉を聞いたことはありますか?
最近、全国的にもこの問題が注目されています。学校や友だちに相談できず、家の中で大きな負担を抱えている子どもたちがいるかもしれません。川越市でも、この問題にどのように向き合っているのかを確認し、今後の取り組みを考えるため、令和4年2月議会で一般質問を行いました。
1. ケアラー・ヤングケアラーとは?
ケアラーとは、高齢者や障害のある方、病気や障害のある家族や友人などに対して、無償で介護・看護・生活支援を行う人のことです。その中でも 18歳未満の子どもが家族を世話している場合 は「ヤングケアラー」と呼ばれます。
近年、全国でヤングケアラー問題が注目されており、国会でも議論が交わされています。自治体独自で支援条例を制定した例もあり、例えば以下のような取り組みがあります。
条例制定自治体:北海道栗山町、三重県名張市、岡山県総社市、茨城県、岡山県備前市
独自の支援例:神戸市の「こども・若者ケアラー相談窓口」や支援マニュアル、高崎市の無料ヘルパー派遣
社会全体での支援が求められており、課題は「実態の把握」と「適切な支援体制の構築」にあります。
2. 川越市の現状と課題
今回の質問では、次の7点を中心に確認しました。
市のケアラー支援に対する認識
実態把握のための調査実施の有無
現在把握されているケアラーの有無
ケアラーに関する市民への周知状況
支援として取り組んでいる施策
市の相談窓口の所在
市庁内の連携体制
市の答弁のポイント は以下の通りです。
ケアラーは孤立しがちで、心身に大きな負担を抱えるため 社会全体で支えることが重要
実態調査は未実施 だが、地域包括支援センターや障害者総合相談支援センターで個別状況は把握
学校現場では小中学校に「疑わしい事例が数件」あり、教育委員会でも注意深く把握
周知は県作成のリーフレットや広報紙、学校配布冊子などで実施
支援は庁内8部局・60事業に関わるが、既存制度を活用する形が中心
相談窓口は状況に応じて複数あり、庁内関係課の会議で情報共有を進めている
3. 今後の実態調査とICT活用の可能性
ヤングケアラーは学校や家庭に埋もれてしまうケースが多く、実態把握が不可欠 です。私は次の点を提案しました。
小中学校で配布済みの 学習者用PCを活用した匿名アンケート により把握を進められないか
実態調査の結果をもとに、支援体制や相談窓口の周知を強化すべき
これに対し市は、次のように答弁しました。
次期高齢者福祉計画・障害者支援計画策定のための調査に、ケアラー視点の項目を検討
PC活用はセキュリティ面の課題があり、慎重に対応する
4. 子ども家庭支援体制の強化
全国で「こども家庭センター」の設置が進められています。これは、子育て世代包括支援センターと子ども家庭総合支援拠点を統合 し、妊産婦から子どもまで切れ目のない支援を提供する機関です。
川越市の現状は次の通りです。
令和4年度から子ども家庭総合支援拠点を開設予定
当面は既存の2機関が会議・同行訪問などで連携し、継続支援体制を構築
こども家庭センターの統合は現時点で具体的検討はなし。国の動向を注視
5. 川越市の役割と今後の方向性
最後に、川越市の今後の取り組みについて質問しました。市は以下の方針を示しました。
国や県の動向を踏まえ、庁内関係課で情報共有・連携 を継続
埼玉県ケアラー支援計画に沿って市独自の取り組みを推進
実態調査や既存窓口を通じて、ケアラーが孤立しない仕組みを強化
私としては、ケアラー本人の視点に立った制度設計と、地域団体との連携による 「相談しやすいまち」づくり が重要だと考えています。

今回の質問を通じて、川越市でもケアラーやヤングケアラーを支える取り組みが少しずつ進んでいることがわかりました。しかし、まだまだ課題はあります。とくに、
実際にどれくらいの方がケアラーとして生活しているのか
困っている方が相談しやすい環境ができているか
これらをしっかり把握しなければ、本当に必要な支援にはつながりません。
私も議会の場から、「誰もが一人で抱え込まないで済むまち」 を目指して、取り組みを続けていきます。もし身近でお困りのことがあれば、どうぞ一人で抱え込まず、相談できる窓口にご連絡ください。
今後も、ヤングケアラーや家族を支えるすべてのケアラーが安心できる川越市を目指して、議会の場で取り組みを続けてまいります。
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