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令和5年6月議会一般質問 ー川越市の地域医療を守るために

団塊世代が後期高齢者となる2025年を前に、川越市の地域医療体制をどのように強化するか。私は、令和5年6月議会で「地域医療と看護師確保」の課題について質問しました。


1. 2025年、地域医療はどう変わる?

日本は少子高齢化が進み、2025年には団塊の世代が全員75歳以上となります。働く世代は減り、医療ニーズは一気に高まることが予想されます。

川越市でも、高齢者数のピークに向けて医療体制の整備が急務です。新型コロナウイルスの経験からも、医療従事者の不足が大きな課題であることを、私は強く実感しました。


2. 国・県・市、それぞれの役割

まず国の地域医療構想と埼玉県地域保健医療計画に触れました。

  • 国(厚生労働省)将来の医療需要や病床数を推計し、効率的な医療提供体制をつくる

  • 埼玉県県全体の医療計画を策定し、訪問診療や看護職員数などを指標として管理

  • 川越市健康づくりや特定健診、初期・二次救急、保健所業務など地域に密着した役割を担う

特に川越市が注目する指標は次の2つです。

  1. 訪問診療を行う医療機関数

  2. 就業している看護職員数

3. 川越市の地域医療の「基盤づくり」

川越市は第三次保健医療計画(令和3~7年度)において、「住み慣れた地域で、一人ひとりが健康で安心して暮らせるまち」を掲げています。

その中で、地域医療を支えるための施策は大きく5つです。

  1. 地域医療の連携

    • 中核病院と診療所の連携、患者紹介の支援

  2. 市民への普及啓発

    • すこやかマップで医療機関情報を提供

  3. 医療従事者の養成・確保

    • 市内看護学校への補助金で人材育成

  4. 在宅医療の推進

    • 医療と介護の連携で自宅療養を支援

  5. 外国籍市民への支援

    • 多言語対応可能な医療機関の情報整備

4. 川越市の医療従事者の現状

令和2年末時点で、川越市内の医療従事者は次の通りです。

  • 医師:920人

  • 歯科医師:298人

  • 薬剤師:758人

  • 看護師:3,398人

  • 准看護師:704人

合計 約6,300人 が市内で勤務しています。しかし、高齢化の進行で今後も看護師不足は避けられません。私は、こうした数字をもとに、より実態に即した対策が必要だと訴えました。

5. 看護師確保の課題と私の提案

川越市は、看護師や准看護師の養成機関に補助金を交付し、市内就職率に応じて補助額を引き上げる仕組みを導入しています。

  • 市内就職者割合が 56%以上 で補助上限1.1倍

  • 年間目標:91人(5年間で455人)

しかし、この56%は10年以上前の実績を基準にしており、現在の医療ニーズや人口構造を反映していない可能性があります。

私は議会で、次のように提案しました。

  • 目標値は、将来の必要人数に合わせて再設定すべき

  • 市内で育てた人材を市内に定着させる仕組みが必要

  • 実態を積み上げて、確実に医療現場を支える数値目標にするべき

6. 市の答弁とこれからの取り組み

市からは次の答弁がありました。

  • 実態に即した目標値の設定は今後検討する

  • 看護師等の市内定着策についても研究していく

私は、地域の医療を守るためには、育成・確保・定着の3点を一体で進めるべきだと、改めて訴えました。

【まとめ】

  • 2025年、地域医療の需要は大きく増加します

  • 川越市では看護師の育成・確保が最重要課題です

  • 私は、市内定着と実態に即した目標設定を提案しました

市民の皆さんが、住み慣れたまちで安心して暮らせる医療体制を実現するため、私はこれからも現場の声を議会に届けてまいります。

 
 
 

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