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令和4年6月定例会 一般質問

6月定例会で行った一般質問の内容をご報告します。質問は2つのテーマに分けて行いました。

  1. 科学的介護の推進と現状について

  2. 関係人口の可能性について


1.科学的介護の推進と現状

科学的介護とは何か

介護の現場では、これまで「経験と勘」に頼った対応が多く、事業所ごとにサービスの質に差が出やすいという課題がありました。そこで国は、科学的介護という新しい仕組みを進めています。これは、介護のデータを集めて分析し、その結果を現場にフィードバックすることで、裏づけのあるケアを行い、介護の質を高める取り組みです。

この仕組みの中心となるのが、科学的介護情報システム「LIFE(ライフ)」です。事業者は利用者の健康状態や介護内容をLIFEに入力し、国はそのデータを集めて分析。結果を現場に返すことで、計画→実行→評価→改善のPDCAサイクルを回し、質の向上につなげます。

川越市と全国の導入状況

  • 川越市では、対象事業所253か所のうち、届出済みは74事業所(29.2%)

  • 全国平均は**33%**程度

制度開始から1年が経過しましたが、まだ登録率は低く、データの蓄積が十分ではない状況です。

現場の声と課題

現場からは次のような声が上がっています。

  • 「利用者の状況が把握しやすくなった」

  • 「アセスメント方法が統一されてよかった」

  • 「でも、入力作業の負担が大きい」「操作が難しい」

つまり、効果への期待は大きい一方で、ICTや人材面での課題が残ることがわかります。

市としての取り組みと今後

市としては、

  • LIFEの目的やメリットを周知

  • 事業者が参加しやすい環境整備

  • 国の最新情報をリアルタイムで共有

を進めていきます。

さらに、国では介護と医療のビッグデータ連携も検討されています。将来的には、科学的介護がより精度の高いサービス提供につながることが期待されます。

まとめ

  • 科学的介護は、データに基づく裏づけあるケアを実現する新しい仕組み

  • 川越市の導入率は3割弱、全国でもまだ十分ではない

  • ICTや人材面の課題に対応しながら、市として周知・支援を強化していく


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2.関係人口の可能性

関係人口とは?

「人口」というと、住んでいる人(定住人口)や観光で訪れる人(交流人口)を思い浮かべます。しかし、これからはもう一つの視点が重要です。それが関係人口です。

  • 定義:特定の地域に継続的に、多様な形で関わる人

  • 位置づけ:定住人口と交流人口の「中間」

  • タイプ

    • 訪問系(実際に来る人)

    • 非訪問系(ふるさと納税や特産品購入など)

国の調査によると、全国で約1,827万人が訪問系の関係人口と推計されています。

関係人口が注目される理由

少子高齢化・人口減少により、地域の担い手が不足しています。そこで、次のような人々を地域づくりに巻き込むことが重要です。

  • 川越出身だが、現在は市外在住

  • 川越のイベントや祭りには毎年来る

  • 川越で副業・テレワーク・ボランティアをする

これらの人々が地域と関わることで、

  • 新しい価値やイノベーションの創出

  • 将来の移住・定住につながる可能性

が期待されます。

他自治体の取り組み例

  • 茨城県笠間市:酒米田んぼオーナー制度

  • 北海道上士幌町:ふるさと納税者向けイベント

  • 岩手県釜石市:都市部人材との複業マッチング

こうした「ファンづくり」「仕事づくり」が関係人口を生む鍵です。

川越市の取り組みと展望

川越市では、

  • まち・ひと・しごと創生総合戦略のもと、観光資源や歴史文化を生かした魅力発信

  • グリーンツーリズム整備や織物市場の活用などを推進

今後は、観光客を「お客様」で終わらせず、未来の関係人口として捉える視点が重要です。例えば、川越まつりや小江戸ハーフマラソンの参加者も、川越のファン=関係人口になり得ます。

まとめ

  • 関係人口は、地域に多様に関わる新しい担い手

  • 川越には観光やイベントを通じた関係人口のポテンシャルが大きい

  • 今後は、ファンづくり・仕事づくりを通じて定住人口につなげる戦略が重要

今回の一般質問を通じて、介護の未来と人口減少時代の地域づくりという2つのテーマに取り組みました。市民の皆さまとともに、川越の未来をつくってまいります。

 
 
 

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